2010.02.24 Wednesday
真竹と門松(2)
来るモノは拒まず?
そもそも、来るモノは拒まずなんてかっこいい事を言ってしまったが、ただ単に、断れなかっただけではないか。自分に対して腹が立つ。しかしここで奮い立つのが私の性格のようだ。何だか分からないが、私の中に分からないことは全部知りたいという欲望のような思いが芽生えて来るのである。つまりけっこうしつこいのだ。
私は普段へなへなしている感じなのか、皆さんにはそんなふうに見えないと言われる。私の良いところと言うのも変な言い方だが、自分が思っているほど他人様は私をしつこいと思っていないのかもと思い込めるところが、凄いところなのかもしれない。
そんな話より、皆さんが善意で持って来てくれたこの真竹が問題だ。何人かの人に真竹の扱いを聞くと、それぞれの人がそれぞれのことを々と教えてくれる。私のお店から約1キロ上(かみ)に、手先が器用で、ワラの一種で馬や宝船や鳥や門松を作ったり、人に作り方を教えたりしている小崎さんがいる。それを思いだしたときは、もう私の足は小崎さんの家に向かっていた。
こんな凄い手作業を

その日は良い感じの日だまりの中、小崎さんは家の前で仲間の清水さんと何かを作っているようだ。年配の人が一人それを見物していた。小崎さんこんにちは。
「おうー。どうも、なんだやー」
何を作っているんですか。
「これか、門松の下の入れ物の部分だ。うちは菊をやっているだんべー。だからその鉢を使うのさ。他の人は大きい缶を使ったりしているけどね。」
とにかく小崎さんと清水さんの手際が良い。まるで大量生産の機械のように指先が動いて、どんどん仕事がはかどる。見ている方がほれぼれしてくる。あっというまに、昔のベーゴマの台の様な感じの、素晴しい網目模様の台がきちんとできている。二人の息がピッタリで何も声など出さなくても、次から次と手際良く進む。こんな現場を見るのは初めてだ。真竹を持って来てくれたお客さん三人のお陰で、こんな凄い手作業をタイミングよくみることが出来た。私にはものすごく幸せな時間が流れている。

うまいこと言うな
とても上手く出来ていますねと声をかけた。すると清水さんが
「昔の俵のふたの編み方と同じだよ」
小崎さんが
「小板橋君は何しに来たんだや」
すいません。皆さんの手際の良さにみとれて自分が何しに来たのかも忘れてました。
「小板橋君うまいこと言うな」
いやほんとです。一瞬間が空いて、小崎さんが
「そうだんべー。なかなかここまで編める技術者はこの辺では何人もいないよ」
と、さりげなく言った。

実はお店に真竹を持って来てくれた人がいて、油抜きというのをしなければならないらしいんです。火を使わない方法はないかと小崎さんのお知恵を拝借しようと思って寄ったわけなんですけど。
「そうさあな〜。やっぱり油抜きは火を使う事になるんじゃねいかあ」
やっぱりそうですか。
「今度、門松用の竹を切るから見に来るかい」
数日して、西松井田駅の近くの小さい公園で待ち合わせをした。てっきり山へ切り出しに行くと思っていたので、足手まといにならないように山支度で行くと、もう3人の男の人がベンチでタバコを吸いながら私を待っていた。
どうも一番若いのに一番遅くなってすいませんと言うと、小崎さんが
「自分も今来たところだから遅くはねいよ」
どこへ行くのかなと思っていたら
「ここの家で竹を切るんだ。もう竹は切り出してあって、後は斜めに切るだけなんだよ」

アンクルサム(群馬県安中市松井田町/電話027-393-2196)
※「マルタの雑誌」は季刊『フライの雑誌』の読者を対象としたweb投稿企画です。ご投稿はinfo@furainozasshi.comまで。
そもそも、来るモノは拒まずなんてかっこいい事を言ってしまったが、ただ単に、断れなかっただけではないか。自分に対して腹が立つ。しかしここで奮い立つのが私の性格のようだ。何だか分からないが、私の中に分からないことは全部知りたいという欲望のような思いが芽生えて来るのである。つまりけっこうしつこいのだ。
私は普段へなへなしている感じなのか、皆さんにはそんなふうに見えないと言われる。私の良いところと言うのも変な言い方だが、自分が思っているほど他人様は私をしつこいと思っていないのかもと思い込めるところが、凄いところなのかもしれない。
そんな話より、皆さんが善意で持って来てくれたこの真竹が問題だ。何人かの人に真竹の扱いを聞くと、それぞれの人がそれぞれのことを々と教えてくれる。私のお店から約1キロ上(かみ)に、手先が器用で、ワラの一種で馬や宝船や鳥や門松を作ったり、人に作り方を教えたりしている小崎さんがいる。それを思いだしたときは、もう私の足は小崎さんの家に向かっていた。
こんな凄い手作業を

その日は良い感じの日だまりの中、小崎さんは家の前で仲間の清水さんと何かを作っているようだ。年配の人が一人それを見物していた。小崎さんこんにちは。
「おうー。どうも、なんだやー」
何を作っているんですか。
「これか、門松の下の入れ物の部分だ。うちは菊をやっているだんべー。だからその鉢を使うのさ。他の人は大きい缶を使ったりしているけどね。」
とにかく小崎さんと清水さんの手際が良い。まるで大量生産の機械のように指先が動いて、どんどん仕事がはかどる。見ている方がほれぼれしてくる。あっというまに、昔のベーゴマの台の様な感じの、素晴しい網目模様の台がきちんとできている。二人の息がピッタリで何も声など出さなくても、次から次と手際良く進む。こんな現場を見るのは初めてだ。真竹を持って来てくれたお客さん三人のお陰で、こんな凄い手作業をタイミングよくみることが出来た。私にはものすごく幸せな時間が流れている。

うまいこと言うな
とても上手く出来ていますねと声をかけた。すると清水さんが
「昔の俵のふたの編み方と同じだよ」
小崎さんが
「小板橋君は何しに来たんだや」
すいません。皆さんの手際の良さにみとれて自分が何しに来たのかも忘れてました。
「小板橋君うまいこと言うな」
いやほんとです。一瞬間が空いて、小崎さんが
「そうだんべー。なかなかここまで編める技術者はこの辺では何人もいないよ」
と、さりげなく言った。

実はお店に真竹を持って来てくれた人がいて、油抜きというのをしなければならないらしいんです。火を使わない方法はないかと小崎さんのお知恵を拝借しようと思って寄ったわけなんですけど。
「そうさあな〜。やっぱり油抜きは火を使う事になるんじゃねいかあ」
やっぱりそうですか。
「今度、門松用の竹を切るから見に来るかい」
数日して、西松井田駅の近くの小さい公園で待ち合わせをした。てっきり山へ切り出しに行くと思っていたので、足手まといにならないように山支度で行くと、もう3人の男の人がベンチでタバコを吸いながら私を待っていた。
どうも一番若いのに一番遅くなってすいませんと言うと、小崎さんが
「自分も今来たところだから遅くはねいよ」
どこへ行くのかなと思っていたら
「ここの家で竹を切るんだ。もう竹は切り出してあって、後は斜めに切るだけなんだよ」

アンクルサム(群馬県安中市松井田町/電話027-393-2196)
※「マルタの雑誌」は季刊『フライの雑誌』の読者を対象としたweb投稿企画です。ご投稿はinfo@furainozasshi.comまで。


























