2015年11月27日

ロケットまつり

私の住む隣近所はとても珍しいと思うことがある。ちょっとやそっとじゃないと思う。皆さんド田舎だとお思いでしょうが、碓氷川が流れ、妙義山が美しい、自然がイッパイ、後は何にも無いじゃないかとお思いでしょうが、頭脳が集積している。ちょっと言っちゃっていいかな。

私の下の家は今は病院をしていないが、他県で2人お医者さんで3軒目もお医者さんで、私の知っている限り3人お医者さんで。私の上の家の3軒目もお医者さんで、道路を挟んでその前の家も1人お医者さんで、そこの兄貴か弟が、やつが医者になれるのなら俺もなれると言っていたと、近所の小母さんが言っていた。だいぶ前の話でその後どうになったか聞いてない。

その下の2軒目も1人医者で、そのまた下の2軒目は女医さんだ。私の知っているお医者さんは現役だけでも9人、この狭い中でその中で親父さんのお医者さん2人も含めると、11人だ。2軒だけ親がお医者さんだったが、他の人たちは普通の商売人の子供たちだ。

その他の間の家の人たちも、教員だったり公務員だったり農協の労働組合の委員長だったり、大工さんでもただの大工さんではなくて一級建築士だったりする。職業で人間の価値を決めつけることは良くないが、このお医者さん率はすごいでしょう。

100メートルあるかないかの距離の中で、ではお前は何なんだといわれると、どこにでもある田舎のフライショップです。皆さん安心しましたか?

実はどうしてこんなことを書いたかというと、道路を挟んで上にある、お医者さんをしている家から3軒目の息子が、ロケットまつりの会社に勤めている。たまに家に寄らせてもらったとき、ちょっと高い棚になにげなくロケットの打ち上げの写真が私の目に入った。旦那に「あの〜、ロケット好きなんですか」と聞いてみたら、「うちの倅がそういうところに勤めているんですよ」という。

「エ〜、ロケットってほらこの間7年がかりで地球に戻ってきたやつ、はやぶさですか?」 「そうそう、それ」「え〜ぇ〜。俺大好きなんですよ」

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旦那が「明日ロケットまつりがあるよ」とわざわざ私に教えてくれた。さっそく出かけた。ふだんは入れない会社に入れた。半端じゃない広さだ。入り口から北側を見ると、何と会社のマークのついた消防車と救急車が格納庫に見えた。さすがロケット関係の会社は違う。

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展示されているものはどれもびっくり仰天。お母さんと手を繋いだ子供が、アニメやテレビゲームと違う本物に釘づけ状態だ。小惑星探査機ハヤブサ2は2014年12月にH−IIAロケット26号機により打ち上げられた。今度こそ私の拳ぐらいの惑星の石を採取して地球に日本に無事帰還して下さいね。今日のロケット祭りを見に来たたくさんの子供たちの思いを裏切らないで成功を願っています。

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車があるが、何だかタイヤがバンブーで編んであるように見えるのは私だけだろうか? バンブーロッドをはじめ、やはりバンブーの潜在能力は測りしれない。

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一度建物の外に出た。敷地が物凄く広いのに、ごみ一つ落ちていない。ヤッパリ宇宙を相手にする会社は凄いな。それに30店舗ぐらいお店が出ているが、全店舗社員でやっていると聞いた。これまたお店がビシーと綺麗に並んでいる。看板に「富岡名店街」と銘打っている。仕事は宇宙を相手にしているのに地元を大切にしている。その心意気に俺なんか勝手にぐぐっときちゃうんだよな。

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宇宙ステーションの室内で、七輪に備長炭でアメリカ人やロシア人に串刺しで焼いた鮎の塩焼きを、アチアチと食べてもらう実験でもしているかのような人。真剣な表情の中になんとも微笑みをうかべているようでもある。

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自社の大型バスが4台もあり富岡から高崎駅まで無料で送迎している。私の脳味噌では考えられない。

南極の石って何だ? どうしてこんなところに、南極の石が2つも展示してあるのだろうか。すぐ近くに碓氷川が流れているので、碓氷川に行って同じぐらいの大きさの似たような石を2個並べても、へ〜ぇ南極から持って来た石なんだと感心してしまうかもしれない。本当はS−210ロケット打ち上げのため、南極越冬隊員として当社従業員が参加し、記念品として持ち帰った石ですと書いてある。ヤッパリ碓氷川の石とは微妙に違う。

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またまたビックリ。今まさに宇宙ステーションで地球を回っている乗組員の星出さんのサイン。超レア物だ。ついこの間も「こうのとり」をしっかりキャッチしてくれて有難う。

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「世界最大の地下無重力実験施設」だそうだ。外国にあるのですかと聞くと、日本です。え〜、ほんとですか。北海道空知郡に有ります。地下無重力実験センターといって、約10秒間無重力状態にすることが出来ます。という。

つい私は「こんな大がかりな実験施設で、たったの10秒間!」と声が出そうだったが、そこはぐっとこらえた。私は今まで、10秒間という時間を真剣に使ったことがあるだろうか。
この実験施設ではたったの10秒間で、考えられないほど色々なデータを得ることができるのだろうな。

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地下無重力実験施設
●無重力の世界では、重力による落下はもちろん熱による流体の対流なども無くなり、地上とはまったく異なった現象が現れます。 ●北海道の廃坑を利用して建設した、深さ710mの無重力落下施設は同様の施設の中で世界最長10秒間の無重力状態を作り出します。 ●これにより、地上でも手軽に無重力実験が行えるようになりました。 ●無重力実験は新素材の開発や流体力学の研究、生命科学の追及など、さまざまな科学分野の進展に大きく寄与するものと期待されています。

糸川英夫教授が昭和30年4月に日本で最初のロケットであるペンシルロケットの発射に成功した。これがそのペンシルロケット。

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日本初の人工衛星「おおすみ」。当時の新聞に「国産衛星地球を回る。ラムダ4S型5度目で成功、自力で世界4番目、おおすみと名付ける」とある。私が子供の時は、アジアで一番先に国産のロケットで有人で宇宙に行くのは日本だと疑っていなかった。宇宙競争も一寸先は闇なのだな。

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でも予算が付かなくても、日本人の頭脳と技術をもって、違う切り口で宇宙競争の先陣を切ってくれるだろう。その証拠に、今日は宇宙好き・ロケット好きの子供たちが、たくさん全国からロケット祭りに集まってきている。とにかく子供がこんなにいるのかとビックリさせられた。

ちなみに、群馬県は「かかあ天下」と言われていますが、館林の向井千秋さんは、日本初の女性宇宙飛行士です。

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小板橋伸俊(アンクルサム/群馬県安中市松井田町)

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posted by furainozasshi at 22:33| 中山道の釣り旅