安中市の旧安中藩武家屋敷を出発点に、選手1,871人が仮装して健脚を競った。市の合併10周年を記念して定員を200人増やした。関所・坂本宿コース(20.15キロ)と(峠コース28.97キロ)の2コースで実施。女子マラソンの谷川真理さんがゲスト出場し、節目に華を添えた。
写真を見ながら第42回安政遠足マラソンをふりかえってみましょう。先導白バイのライダーは女性だった。
いたいた、さすが早い方だと思います。谷川真理さんとお友達が袴姿で私の前を走って行く。真理さん気合の入り過ぎではないですか? 真理さんの右手の指が握っている所が真剣だったらとんでもないことになっているのではないですか?
地元の上毛新聞に谷川真理さんのコメントが載っていた。
約2時間で関所・坂本宿コースのゴール「碓氷峠の森公園くつろぎの郷」に到着した。谷川さんは「こんなに応援の人が出る市民マラソンも珍しい。人の触れ合いがあり、お祭りのように記憶に残る大会」と振り返った。市民ランナーから選手に転身して東京国際女子マラソンなどで優勝した谷川さんは、タイムを意識した通常のレースと異なる空気に新鮮さを覚えた。前夜祭では出場者から「前夜祭と本番で別の仮装を用意してきた」と聞き、驚いたという。
侍マラソンの前にひとこと。安中市が松井田町の旧碓氷郡と合併してはや10年になる。今回は記念大会になるようだが私の脳味噌はまだまだ安中市民にはなれないでいる。頑固な碓氷郡生まれの脳味噌がいる。そこでランナーが碓氷峠の熊野神社までゴールする前に、松井田町と碓氷峠がどんなに重要な関係にあったか歴史の勉強をしてみよう。ただしあてにならない私の脳味噌の話として、お付き合い願いたい。
天正18年(1590年)、今から426年前、北条方の三家老の一人、大道寺駿河守政繁なる人物が松井田城主であった。碓氷峠がどれほど大事な位置を占めていたかが役職だけでも分かる。豊臣秀吉の命令で前田利家が指揮官として、松井田城の西碓氷峠側に陣を張り、東の江戸側には今大河ドラマで注目されている真田昌幸が陣を張り、北側には九十九川の榛名山側に小諸の依田康國が陣を張り、南側には碓氷川を挟んで上杉景勝が陣を張った。今でも八城などという地域が碓氷川の所にある。
松井田城は山城で、特に碓氷川側は、急斜面で難航不落の城で攻めづらく、結局兵糧攻めで水がつき、四月二十日松井田城落城。豊臣秀吉と松井田城との攻防戦は終った。大道寺駿河守政繁は埼玉県の川越に連行され七月十九日に切腹させられた。小田原城も七月五日に落城して、北条氏はここに滅んだ。
加賀前田家(石川県)利家は、このあと平和の時を迎えた慶長三年(1598年)に、はるばる金沢から草津温泉に滞在して湯治をしている。彼は名湯であることを知っていた。松井田城攻防戦の時に、松井田は全部火を付けられて燃えてしまっている。
426年前にそういう歴史があったことを踏まえて大河ドラマ真田丸などを見ると、歴史観が変わって見えて来るのではないか? 文化や歴史を知ることで、地に足がついた考え方が出来るのではないか。
さて、平和な現実に戻りましょう。
うまくゴール出来ますように。繊細なランナーかも。靴の上に蹄をかぶせている。
ヒゲの常連さん。男性か女性か。男性かな?
赤い帽子がマリオでいいのですか? グリーンの帽子は何ていうのかな。ゲームをしないからおじさんには分からない。赤帽子と緑の帽子の組み合わせで走って行くランナーがけっこうたくさんいるよ。
よく分からないのですが「ガリガリくん」って、アイスキャンデイの袋に絵が書いてあるやつですか。おじさんはもうついて行けない。ちょうどアイスキャンデイが顔にかぶってしまつている残念。一緒に走っている他のランナーたちが仮装ランナーを見て笑って走って行く光景は結構多い。
またまた何のキャラクターか分からないが、カメラを持っているおばさんの、私も若い頃はスタイルがあのくらいだったと思っているようなふきだしを付けたい笑顔がホホエマシイ。
島崎憲司郎さんへ。彼女の背中のウイングを水生昆虫のフライに応用できないですか。
元気で明るい女版の一心太助。足に白いマニキュアをそれとなく塗っているあたりも、女の子らしい。
刀が頭蓋骨を貫通して右肩には矢が貫通していてそれなのに元気で走っている。お姉さんも軽く苦笑い。
安中市の病院の先生か看護師さんか。本物のガリガリくん?をかじりながら。仕事柄忙しいのか、どうしても走ってしまうのかな?
日本一の富士山には驚かされた、なんと薄くポケットのように見える場所からニョキと手が出て来て、子供たちとタッチをして行った。そんな手があったか。右側の人にも左側の人にも見えるように、ホッペには初日の出が一個ずつ塗ってある。仮装をほんとに楽しんでいるランナーだ。
この神主と巫女さんは親と子供か。それに身に纏っているものも本物ではないか。靴は黒足袋と白足袋のように鼻緒が書いてある。父親は大変楽しく嬉しいのではないか。
槍の刃の部分が、らせん状に薄くオレンジ色に輝いている。電池を使って光らせているようだ。回りが明るいので気が付かない。やけに刃の部分が長いなとは思ったが、兜の炎が大きくて濃いオレンジ色なので、つい目を奪われてしまった。その炎はやけに濃く出ているがやはり電球が入っているようだ。この侍は工業系だな。
よくテレビにコマーシャルに出て来ている、体格の良い女装の男性の仮装。ずいぶん顔が苦しそうに見えるのは私だけでしょうか。
21世紀のおそまつ君。
前垂れに「川越」と白い字で書いてある。剣道の防具と竹刀を持って面も付けてどのくらい重量になるのか。そうとう重いと思う。野球の子供が右手を伸ばして握手でもしようとしたのか。そうしたら剣士が子供に水筒を置きなさい、竹刀を両手でしっかり持ちなさい。剣士は左手で竹刀の真中を握り、大きい声で自分の面に竹刀を当て「め〜ん」とひとこと言って、左右確認をしてランナーとして走り去った。
この「川越」の剣士は、426年前に豊臣秀吉の命令で真田昌幸、前田利家、上杉景勝と、川越の殿様でもあった大道寺駿河守政繁が松井田城の攻防戦をおこない、破れて川越に連行され切腹をさせられたことを御存じか。川越の剣士ランナーと碓氷峠や松井田宿は長い歴史の縁(えにし)で結ばれているのですよと、声を大にして教えてあげたい。私の目の前で松井田の子供に剣の道の精神を伝授してくれる。素晴しい。
熊本の皆さん。くまもんが走って応援をしていますよ。今回の侍マラソンでは、くまもんの仮装のランナーが一番多かったかも知れない。熊本・大分を応援するランナーたち。早い復興を願っています。どうもこの3人は兄弟ではないですかね?
ぼく、天気は好いし喉が渇いたかもしれないけど、イチゴシロップたっぷりのかき氷を飲みすぎたらお腹を壊しちゃうぜ。
出ました上毛かるた。帽子をかぶってネギを笊の上に置き、左手に大きいかるた。下仁田ネギとコンニヤクが旨そうに描いてある。弟が下仁田ネギを触りたいと左手を上げると、お姉ちゃんがあれは造り物だから触ってはいけないと弟を阻止しているのかな。
猫のぬいぐるみです。犬と違い中々飼い主のいうことを聞かないし、首輪をつけないせいか自由である。子供の野球チームの子供たちとハイタッチをしている。
2カ月がかりで完成させたという、高さ2メートルのダンボール製白衣観音像をかぶって登場。地元の言い伝えだと高崎の白衣観音像でデートすると、白衣観音像は女性なのでやきもちを焼いて、二人は一緒になれないといわれています。
走って来た女性の友人がドリンクを2本持って待っていたらしく、一緒に写真を撮る撮らないでえらい騒ぎをしているようだ。
こちらの姉弟はミッキーマウスを待っていたのか。お姉ちゃんが積極的に弟より前に出て、小さい左手を目一杯広げてミッキーとタッチしていた。ずいぶん嬉しそうだった。これで1回浦安のディズニーランドに行った気分になってくれただろうか。今の子供たちはそんな程度ではだめだというかもしれないな。
三度傘と旅烏とサングラス姿の馬場さんが、いつになく苦しそうに駆けて来た。馬場さんはこれでたしか70歳は超えていると思う。すごいな。
赤鬼、青鬼、緑鬼、黒鬼。緑鬼はでっかい金棒ではなく、小さいウクレレを持って走っている。途中でハワイアンでも弾いてくれるのかな。
少年野球の監督が「時間だからみんな帰るぞ」と号令をかけていた。野球のユニフォームを着てゆっくりと歩いて来たランナー2人が、「オイオイ、こんなに野球の子供たちがいるところで俺たち歩けないよ。」といきなり駆けだした。
もうほとんど終わりに近く、応援する人もちらほらというぐらいの時に、ドーンとお腹が出た相撲とりのぬいぐるみふうなランナーが、苦しそうに駆けて来た。周りにほとんど人がいなかったので、「四股名は何ていうのですか」と聞くと、苦しいのか「忘れた」とだけ答えて駆けて行った。
後にはランナーが走れなくなったら乗るバスが見える。そんな時、大きいくまもんが私をめがけて歩道を駆けて来た。もしも渓流だったら腰を抜かして動けなくなっていただろう。そんなわたしにやさしく、くまもんから握手をしてくれた。走り去って行くくまもんの後ろ姿を見たら、髪の毛がポニーテールだった。
・・・・・
小板橋伸俊(アンクルサム/群馬県安中市松井田町)
※「マルタの雑誌」は季刊『フライの雑誌』読者が対象のweb投稿企画です。
ご投稿はinfo@furainozasshi.comまで